いわしはだいだい昼寝をしている

まとまりもとりとめもない脳内爆発日記

論理的思考力を鍛える33の思考実験のレビュー

松本さんの良本のレビューをしてからレビューを書くのをくせにしようと奮闘しているいわしです.今回はだいぶ前に読んだ”思考実験”らしき本のレビューです.

 

要約

33の思考実験がいい意味で羅列されている.が,ほかの方のレビューにもあるように解答(考えたのヒント)が薄く一面的てある.そもそも答えが簡単に出ないから思考実験な訳である.思考実験を薄く理解したい方には良いかもしれないが,真面目に勉強しようと思い本書を手にしようとしている方/手にした方には申し訳ないが,そのお供にはなり得ない.正直に言ってウェブ上にあふれているブログやまとめサイトの方がはるかに有益であると思う.

有名なのは哲学ニュースや不思議.netなどのまとめサイトなので,そこからサイト内検索して記事に飛んだり,哲学wikiを見ている方がよっぽどためになると思います.この本では,数学の確率計算(就職試験のSPIレベルのもの)やクオリア(哲学)の問題などが一冊の問題にまとめられていて,正直違和感を禁じ得ない.

いいところ
・思考実験(らしきもの)がリスト化されていて,諸問題の収集には役に立つ.しかし決してそれの解説を真に受けてはいけない.

・初歩の初歩として,こういう問題があるのだな,と理解する分にはいいかもしれない

悪いところ
・解説が雑すぎて,ほとんど理解を助けないし,助けたと思ってもそれはかなり表面的でありその道の専門家に怒られそうなものばかりである.そもそもなぜその道の学者などの監修なしにクイズ作家が作ったであろう解説をあたかも唯一絶対の答えのような感じで載せているのか理解に苦しむ.そもそもそんな簡単に正解があったら思考実験ではないであろう.

・内容が散逸的である.そもそもクオリアの問題などはそれで一冊かけてしまうほどのテーマであるのに,たった数ページにまとめられている

・ほかのレビューに詳しいのでここでは詳細を書かないが,誤解を生むような解説がある

その他

正直に言って,読むのは時間の無駄であったと思った.特に大学の一般教養で政治哲学や倫理学を取った人には物足りない内容だと思う.一方で,それらを取っていない人や,内容を思い出すために「こんな問題あったなあ」とアハ体験する目的なら良書となり得るかもしれない.

特に第1章の「倫理観を〜」はマイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」の100倍希釈のような感じなので,興味がある方は初めからそちらを読んだ方がいいと思う.