千と千尋の構造をとってみる(1)
千と千尋が大好きです.
おそらく10回以上は観てると思います.
どうせなら,見るだけではなくて見て,自分なりに理解して,構造をとって見ることが映画や文学作品の楽しみ方なんでしょうが,そこまで器用ではありません.
巨人の肩に乗って,すでに書かれている論文を読んで見て,千と千尋の構造を理解して見ましょう,というのが今回のエントリーの趣旨です.
Google Scholarで調べて見たら,結構たくさん千と千尋関連の論文がありました.
なかなか学術的な注目度も高いのですね.今回はなんとなくこの論文を選びました.
「アニメーション映画『千と千尋の神隠し』に見られる二重の異郷訪問話譚構造について:ミハイ・ポップの「裏返し」モデルを適用した場合
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/7469/1/kokugoronsyu-11-77-89.pdf
物語論ではよくあることですが,ほとんどのお話はある種の構造を持っていて,それに従い,分類できるみたいです.そういう意図に乗っ取り,この論文では「千と千尋」をミハイ・ポップという人の「裏返しモデル」を使って構造をとっています.
筆者によると,この論文は「従来の学問的蓄積の上に千と千尋の構造を位置付ける試み」と解釈できるらしいです,僕にはあまりそれがどういう意義があってなんでやらなければいけないのかがいまいち理解できませんでしたが(読解力不足で申し訳ありません).
千と千尋には「裏返し」の構成がよく見られているらしく,筆者にとってはこのアニメ映画は「異郷訪問譚」とみなすことができるらしいです.そして千と千尋は「裏返し」の頻度が他の作品に比べて比較的高いように感じられるらしいです.
はっきり言って,読んでいて僕はここが引っかかりました.論文において「感じられる」とはどういう意味でしょうか.
論文を書くときにはこういう考え方もあります:
(2)へつづく