いわしはだいだい昼寝をしている

まとまりもとりとめもない脳内爆発日記

イギリス留学完全マニュアル(2)

 

前回はこちらです.この記事は(2)です.

出願のこと

僕が出願した大学院はLondon School of Economics (LSE)、Durham University、King's College London、Queen Mary, University of London、Newcastle University、University of Bristol、University College London (UCL)です。結果的には全ての大学院から合格をもらいました。本当はOxfordが地理学の分野で世界1なのですが、人文地理学(専門)の課程が合ってないようなものなので、出願しませんでした。

率直に言って、8つの大学に出願するのは、多すぎですし、推薦状を頼んだ先生に大変申し訳な気持ちでいっぱいですが、今考えると出願して各大学が求めていることなどを理解する練習にもなったし、悪くなかったかな、と思っています。ただ、出願先は学部生であれば自身が所属するゼミや親しい先生から、社会人であれば上司などからだいたい2通(1部の学校では3通)いただく必要があります。

よくあるケースですが、推薦状を書いてくれる先生が多忙につき自分が予想していたタイミングでそれが手に入らないことがあります。そういうことを織り込んでスケジュールを組みましょう。多忙な時間を割いてくれるだけで本来は大変ありがたいことです。

推薦状の提出方法はいくつかありますが、留学エージェント(beoやSIUK)を使った場合は業者に直接、紙で提出するケースがほとんどです。一方で、レベルが高い大学群が業者の仲介を認めていない大学があります。例えば、僕の知る範囲ではUniversity College London(UCL)やLondon School of Economics(LSE)はそれに当たります。この場合は、推薦状を書く人(例えば頼んだ大学教授)に直接、出願先からメールが届き、推薦状を書く人が直接出願先大学のページに推薦状の中身を書き込むことになります。

推薦状の中身については、推薦状を書いていただく人と熟議をする必要があります。なぜなら推薦状の中身が自身で書いたパーソナルステートメントと相違があったり、全く関係ないことが書いてあると大きく心象を悪くするからです。また推薦状を書く人も暇ではありませんので、「こう言うつもりで○○大学に出願するので、こう言うことを書いて欲しい」とはっきりと伝えるべきです。そうでなければ抽象的な内容が推薦状のほとんどを占めることになってしまいます(例えば、「○○は推薦することができて光栄である」みたいな全く意味のない文章)。 

スケジュール感

イギリスのほとんどの大学院の入試はRolling Admissionです。つまり、出願書類や手続きが完了した人から入学審査が行われるということです。ここで気をつけなければいけないのは、大学院入試が「早い者勝ちに近い」という事実です。実際に、めちゃくちゃ優秀で、こんなに頭いい人っているのか!って思わされた香港大学出身の私の友人は2月末に出願して全ての大学に落ちました。まあもちろん中には出願締め切り日に出してOxford受かっちゃう友人などいることはいるのですが、凡人の私たちが真似すべき戦略ではありません。出願書類などが準備できたらAs soon as possibleで提出しましょう。

僕は6月くらいから出願準備をはじめ、7月には出す学校を決めて、推薦状(2通)に関して自分の指導教員やもう1人の先生とミーティングを重ね、8月には自分が出願する前年の募集要項を熟読し、パーソナルステートメントに書くべきことを箇条書きでまとめ、そして9月には書き終わり、いつでも出せる態勢にしておきました。また僕の場合は結局研究コースに進んだため、研究計画書を書かなくてはいけなくなり、Literature Reviewなどもやる必要が出てきてバタバタしました。

繰り返しになりますが、どんなに頭が良くて能力があってもタイミングが悪いと落ちます。日本みたいに入試日が決まっていて一斉にスタートするマラソン大会とは違います。むしろ、ルールを知っている人が特をするようなシステムになっています。まずはルールを理解して、そのあとに振る舞い方を決めましょう。これが意外と知られていないが大切な部分です。

目安のGPA

GPAは自分が所属している学校によって基準が違う思いますが、基本的には3.0あれば大体の大学院に出願できると思います。出願先の大学院がそれぞれの基準に沿ってGPAを評価し直してくれるので、そこは深く考えないでオーケーです。

ただ、知っておかなければならないことは、日本の所属大学が優秀であれば優秀であるほど、条件付き合格の条件が緩くなることです。例えば、僕が在籍していた大学院では東大出身者が卒業時にGPA3.5しか求められないのに対し、僕は3.8求められました。大きな差です。他にいくらでもこういう例があるので、もし大学院で留学したいのであれば、大学在学中の成績で手を抜かないでください。

一部の大学を除けば(例えば、G5と言われるような、Oxford, Cambridge, LSE, Imperial, UCL)、GPA3.5あれば安泰、3.3あればなんとかなります。その他の大学であれば2.7~3.0あれば戦いにはなるのではないでしょうか。

IELTSの取り方

私はもともと英語が超苦手でした。IELTSも最初はおそらく4.5くらいだったと思います。物事は基本なんでもそうですが、自分でできることとできないことを分けるとうまくいきます。IELTSだと、スピーキングとライティングは自分の力でやるのは限界があります。なので、私の場合はフィリピンに一ヶ月語学留学しました。フィリピンの学校で集団でリーディングとリスニングを勉強している人がいますが、これって意味あるのでしょうか?

意味を見出せる人は、やればいいと思いますが、私は自分でできると確信していたのでスピーキングとライティングだけ、マンツーマンで1日8時間みっちりやりました。ちなみに、習わなかったリーディングとリスニングは8.5を取ることができました。私を真似しろ!という気は毛頭ありませんが、ご自身の勉強法を見つけられると強いと思います 

個人的にはIELTSを作業ゲームだと思ったほうがいいと思います。なぜなら、例えばリーディングをいちいち生真面目に読んでいたら(文章ふつうに面白いし)長いので、読み終わりません。なのでいわゆるスキミングやスキャニングと言ったテクニックを使って、パズル感覚でリーディングを解くべきだと思います。ここにこれが書いてあるから、答えがこれ!みたいな感じに達するまで練習を積めば、点数は安定すると思います。逆に安定しないまま受けると、リーディングこないだは5だったけど、今回は7、みたいなことになって安くないお金をブリティッシュカウンシルにエターナルドネーションすることになるので気をつけてください。

単語の勉強方法

私は単語の暗記がすぎじゃないので何参考書使わなかったのですが、単語暗記しないと不安!って方は科学的な方法で暗記するといいと思います。調べればいくらでも出てくるのでここには書きませんが、ankiっていうソフトを使うと捗ると思います。こちらが公式サイトです: https://apps.ankiweb.net 

嫌いなことをパターン化して工数を減らすのは勉強に限らず研究でも仕事でもかなり力を発揮するソリューションです。そうであればぜひ我々凡人の生き残り戦略にも活用しましょう。あまり知られてはいないのですが、ankiは自分でdecksを作らなくても他の大勢の方々が作った先人の知恵のようなshared decksが存在します(https://ankiweb.net/shared/decks/english)。これを使わない手はないでしょう。これを活用すれば単語帳を買う手間も省けます。

この本をお読みの皆様は留学ブログなんかもご自身でググって読まれたことがあると思います、そこではIELTSのoverallスコアについていろいろ書かれていますが、僕の見解としては最低限6.5ないと日常生活も厳しいと思います。イギリスはアメリカと違いとても留学生の数が多く、各々が各々のアクセントで話しています。もちろん英語の基礎を抑えたアクセントなので英語が達者な人には理解可能ではありますが、6.5程度の英語力だと大変苦労すると思います。筆者はIELTSのリスニングは平均でも8を超えていますが、大変苦労しました。正直、言っていることの半分もわからないことなどもありました。スコアはたとえ6.5でも高いほうがいいです。肝に命じて英語の勉強をしましょう。

リスニングの勉強方法

リスニングの勉強方法は多種多様だと思いますが、イギリスではなんだかんだBritish Englishが話されています。なのでIELTSはもちろん留学中のことも想定して英国英語を多く聞くべきだと考えています。たとえばTEDなどはお馴染みの英語教材だとは思いますが、探してみると意外と英国英語のプレゼンテーションも見つかります(http://japan-uk.info/ted-british-speaker/)これらをうまく活用して英国英語の聞き取りを強化しましょう。具体的には僕は、IELTSの公式問題集とTEDを利用し毎回解き終わる/見終わるたびに、シャドーウィング・スクリプトを見ながら音読・1.5倍速で音読を繰り返していました。IELTSの公式問題集は大変高いですが、大学生であれば大学の図書館や視聴覚系のリソースセンターに必ず所蔵されていると思いますので、大学のリソースを利用しましょう。

リーティングの勉強方法

これまたリスニングの勉強方法に似ているのですが、公式問題集を僕は3周は解きました。と、いうのもIELTSの問題にはパターンが存在するからです。ルールや制度、パターンがある問題は必ずハックできます。何故ならば規則があるからです。たとえば、有名どころではありますが、IELTSのリーディングの答えの根拠はほとんどの場合降順になっています。つまり、3問目の答えの根拠は8問目の答えの根拠よりほとんどの場合前にあるのです。こういう小さなルールやIELTSに準拠した問題対処法を自身の中で確立すればIELTSのリーディングはハックしたも同然です。ただこういうテクニックは自分で実践をして「感じ」を理解しなければとても使えるものではありません。なので僕はIELTS公式問題集を解きまくりました. 

余談ではありますが、IELTSの試験問題の文章は実はかなり面白いです。僕が受けた時は専門である地理学では大変有名な「割れ窓理論」について書かれていました。これが厄介で楽しんで文章を読み込むほどIELTSは我々に時間を与えてくれません。常に試験は時間との勝負なので、それを意識して練習を積むべきだと私は考えます。

スピーキング・ライティングの練習

スピーキングとライティングは日本人にとって鬼門です。偉そうに本書を書いている僕も他のセクションのスコアは8を超えているものの、この2つは7台に止まっています。なので、効果的な勉強方法を説明することにはいささか抵抗がありますが、ここではあえて共有させていただければと思います。

まずスピーキングについては、発音で点数を取りこぼすことのないようにしましょう。発音もあまり知られていませんが、採点項目の1つです。ここでも繰り返しになりますが、テストなどのルールがあるものは必ずハックできます。つまり大げさにいうと採点基準のもののうち、できないものに力を入れて全体を底上げするという技も十分考えられます。なので、僕の場合は発音を力入れて強化しました。

またスピーキングのPart 1はそこまで難しくありません。大体は自己紹介で構成されているはずなのでまずはPart 1を完璧にしましょう。「どこから来たの?」という質問に対し、答えることが難しいようでは、留学は厳しいものとなるでしょう。

またこれは意識の問題ですが、スピーキングはコミュニケーションです。気の利いた答えを必ずしも返す必要はありません。と、いうのもたまに日本語でも答えるのが難しい質問がなされる場合もあります。たとえば、君の2番目に好きな色は何?という答えに対し、赤と答えた後に、それはどうしてそう思ったの?、のような想定外の質問です。面接ではありませんので、この場合は「特に理由はないけれど、なんとなく綺麗だから好きなんだ」くらい目を見てはにかみながら言えれば完璧です。

ライティングについては、自分自身で文法ミスをチェックすることはほとんど不可能ですので、ここは機械に頼りましょう。グラマリーという文法をチェックしてくれるサービスが無料で提供されています(有料版もある)ので、それをダウンロードしてインストールまたはブラウザ上で利用するのが無料で素早く自分の英語をチェックできると思います。ここでは、手で書いた英文をtextにする必要があり多少めんどくさいですが、費用がかからないのでおすすめです。またいちいち英文をタイプするのはめんどくさい、という方は自分で書いた英文の写真を撮り、Google DocumentにアップロードするとOCR機能によりテキスト化されますので工数削減につながります。勉強も頭を使うとかなり効率的に行えるいい時代になりましたね。 

また違うアプローチとしてIELTSライティングのルールをハックする方法もあります。この場合はIELTSの元採点官が書いたとされているブログ(毎週更新されている)に多くのtipsがありますのでぜひ参考にして見てください: http://ielts-simon.com/

 残りは(3)で解説します.

 

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