いわしはだいだい昼寝をしている

まとまりもとりとめもない脳内爆発日記

イギリス留学完全マニュアル(1)

はじめに

巷に溢れている留学本は「何処かからお金もらって書いているんじゃないの?」と言う感じがどうしても拭えません。僕が留学を決め、パーソナルステートメント(いわゆる志望動機書)を書くために、多くの本やブログを参考にしました。が、しかし本に関してはほとんどが参考にならなかったような記憶があります。そもそも実用的な留学方法指南書は存在するのでしょうか?(僕には良くわかりません)。

この状況を鑑みて、本書は実用的な留学指南書を目指しています。なので、無駄な情報(例えば、自分に全く関係のない留学先の紹介や意味のわからないアドバイスなど)は一切なしです。本の長さ的にはどうしても短くなってしまいますが、量より質を目指していますので、ぜひご理解ください。

僕は結局のところイギリス留学を2回しています。1回目は、学部在学中に日本の大学の制度を使った交換留学でKing's College Londonへ。2回目は、学部卒業後にLondon School of Economics and Political Scienceの修士研究コースへ。特に1回目の留学の際は頼れる先輩や書籍がなく留学の応募書類を仕上げるのに大変苦労しました。そう言う不幸な人をこれ以上増やさないために、この本を書くことを決めました。

これまで多くの留学希望者のパーソナルステートメントやCV/レジュメ(履歴書)を読んできましたが、合格する人の応募書類にはいくつかのパターンがあるような気がします。本書ではそれについて説明します。

そもそも僕がイギリス留学を志したのは、僕の専攻である地理学を本場で、本気で学びたかったからです。後に詳しく触れますが、イギリスの大学/大学院では小手先の暗記で点数が取れるような授業はほとんどありません。むしろ、「覚えなくてもいいから、君の考えを論理的に教えてくれないか?」と言ったようなスタイルの授業が多い印象です(もちろん暗記も大切なことです。それを否定する気は一切ありません)。

厳しいことを言いますが、留学をしたからと言って人生が突然華やかになる訳ではありません。むしろ、泥水を飲みながら勉強をする過程や、それによってもたらされる忍耐力などが今後の人生にとって大きな意味を持つのかな、と感じています。「箔を付けるために大学院に留学したい!」と思っている方も多いと思いますが、その場合はいわゆる「いい大学院」に行かなくてはいけないので、どの道多くの苦労をすることになると思います。その苦労を楽しむようなマインドを持った方にはイギリス留学は大変おすすめです。

これを書いている人のこと

僕はLondon School of Economics and Political Science (LSE)の修士課程を2018年9月に修了した者です。学部は関東にある国公立の大学を卒業しています。その間に、1academic year (イギリスの学部はだいたい9月に始まり6月に終わり、それをacademic yearと呼ぶ)留学していました。専門は地理学で学部時代からずっと勉強しています。学部時代のGPAは3.87でした。

僕が所属していたLSEの学部は留学当時世界2位の評価を受けていました。せっかく授業前に辛すぎて泣きながらも生存したのだから、備忘録的に学んだことをまとめて、どうせならシェアしたいので書きました。決して承認欲求によるものではありません。

みんなめちゃくちゃ勉強してる

当たり前かもしれませんが、テスト前などは1日18時間くらい勉強している人もいました。それも勉強/研究が楽しくて仕方ないみたいなので自発的に勉強をしている人がほとんどで正直僕はびっくりしました。頭が勉強を欲していても、ただ身体やメンタルが追いつかないことも多々あるみたいで図書館の入口で気絶している人もいましたし、テスト中に失神してる人もちらほらといました。噂に聞いた話ではCambridge大学ではテスト会場に救急班が待機しているらしいです(指導教授のジョークだと思うけど)。

やりきれば別に緊張しない

多くの大都市がそうであるように、ロンドンには日本人会があります(https://www.facebook.com/groups/125371714183771/)。そこで飲みながら話を多くの人の話を聞いて一番印象に残ったのは「スポーツとかはダメだったけど、勉強なら自分のリソースをつぎ込めば負けないと思ったから。打算的に勉強にリソースを配分することを決めた。そして徹底的にやれば絶対に失敗しないし、ここまでやったらダメなわけないと思った」という言葉でした。そして(まあ勝者だから言えるのかもしれないけど)「”やったのにできない”って思うときはだいたいそんなにやってない。努力が足りてない」とも言っていました。実はこのマインドに僕はなんとなく共感できる。授業を受けて、ゼミに参加して、論文を読んで...を果てし無く繰り返していると、ある日突然「この分野は誰にも負けないんじゃね?」と思う日が来ます。実はこれは修士で研究テーマを持っている人には当たり前のことで、大学もそれを求めている節があります。

達成したい目標があったらそれに没頭しよう

僕がいた大学の仕組みとして、基本的には先生には2種類あった。それはAssociateとProfessorです。実は成果を出さなければ基本的にProfessorにはなれない酷な仕組みなんですが、そんな中ある韓国人の先生が40歳くらいでProfessorになり学校中を騒がせた。そんな彼は年に3本は論文を学会誌に投稿して1冊は本を書き、授業は年に3つ受け持ち、毎週生徒に小論文やアカデミックブログを書かせそれを丁寧に添削して、夏は北京大学のサマースクールで教鞭をとるみたいな超過密スケジュールで生きていた。一体いつ寝てるんだと思って、道ですれ違った時に、 「どうしてそんな超人的な成果を出せるんですか?」と聞いてみたら「自分がやっていることが好きで、誇りを持っていて、何より没頭しているからだ」と。そして続けて「没頭できないことには、成果は出せないとまでは言わないけど、成果は上がりにくいんじゃないかな?」と言っていた。学ぶべきことは多いと思う。

みんな違うのは当たり前

価値観も勉強方法もある問題に対する向き合い方もみんな違うのは当たり前。ほとんどの物事には正解はない(そんなもんあったらもっと世界は良くなっているはず)ってことをみんなよく理解しているので、価値観を押し付け合うことが少なかった。それよりもいかに自分の意見をエビデンスを持って論証して行くかというところが問われているので、とても住み心地のいい世界でした。

結構みんなカルチャー?に詳しい

勉強ばっかりしているわけだけど、結構みんな流行に敏感だし、アニメやドラマそして映画などにも詳しい。つまり勉強だけしているわけではなくて、しっかり息抜きの方法を知っている。実に戦略的。それに目を見張るのは、各々アニメやドラマの見方(鑑賞方法)を持っていることである。これは、例えばnetflixという意味ではなく、「どういう視点で」作品を鑑賞しているのか、ということである。僕のルームメイトであった友人は、攻殻機動隊やサイコパスとったSF系が大好きであり、それをDigital Humanities(デジタルワールドの人文学)の視点から分析し、エッセイで論じていた。

 

はじめにが長くなってしまいました。次回は本編を書きます。

 

iwashidayo.hatenablog.com

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