いわしはだいだい昼寝をしている

まとまりもとりとめもない脳内爆発日記

バンデンハークのストレートについて考える

日本シリーズ第6戦,ソフトバンクの先発としてマウンドに立ったバンデンハークのストレートは圧巻だった.ストレートに限れば広島打線はろくに前に打球を飛ばしていないのではないか?と思えるほどの出来だった.

www.youtube.com

バンデンハークのストレート*1

僕の集計・計算によると日本シリーズの2試合におけるバンデンハークのストレートの平均球速は,152.4km/hだった.シーズン中の平均球速はTBSの野球中継によると150km/hを記録し,これは先発投手のストレート平均球速で1位だったようである*2

 広島打線はバンデンハークの150km/hを超えるストレートに対し,38 スイングしたもののフェアゾーンにボールが飛んだ回数はたったの6回だった.率にして,15%

さらにデータの参照を対バンデンハーク二試合目(日本シリーズ第6戦目)に限ってみると,23回のスイングのうち1回(菊池のセンターフライ)しか前に飛んでいない.率にして4%ほどなので大変驚きである.

データを分解してみると不思議なことが起きている.広島がバンデンハークの150km/h以上のストレートをバットに当てて,フェアゾーンに飛ばした場合,4/6がヒットになっている.つまりBABIPは驚異の.667だ.また広島のシーズン中のBABIPは.308*3.ここから広島打線は相当運が良かった,もしくはバットに当てさえすればストレートに滅法強い,という仮説が浮上する.

BABIPは投手の性質を問わず長期的にその値を見ていくと.3程度に落ちつくと指摘されている*4

長期間でのBABIPの数値は投手のタイプに関わらずほぼ差がないことが証明されており、平均値(年代によって差はあるが、約.300前後を推移)を大きく外れた場合は運や味方野手の守備力が作用していると考えられる。

よっておそらく広島は運が良かったのだろう.ちなみにバンデンハークの今シーズンのストレートの被打率は.247であった*5.広島打線の対150km/h以上のストレートの打率がいくつかは残念ながらデータがないためわからない.が,バットに当てさえすればストレートに滅法強いという仮説はおそらく支持されないであろう.もしくはストレートを捉えた時の打球速度がめちゃくちゃ早かったのかもしれない

シーズン中のバンデンハークのストレートでの奪空振り率(空振り回数/総投球数)は9.85%*6.一方で,日本シリーズ中のデータは16%を記録する.このデータから,広島がバンデンハークのストレートに対応できなかったことは明確だろう.

データ自体はかなり古いものだが,NPB全体で見て見ても150km/h以上のボールに対する打率は極めて低い(.222).メジャーのストレートの平均球速が150km/h*7らしいので,その辺がNPBの課題かもしれませんね.

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*1:今回は球速が不明の場合はデータを除外している

*2:こちらで画像を確認できる.ちなみにこのデータはセリーグを含んでいるのか,パリーグのみのデータなのか判別ができない.:http://absurd.blogo.jp/archives/52636244.html

*3:https://1point02.jp/op/gnav/leaders/tm/tbs_advanced.aspx?sn=2018&lg=1&tm=0&ps=0&sl=1&sr=0&pn=0

*4:https://ja.wikipedia.org/wiki/BABIP_(%E9%87%8E%E7%90%83):

*5:http://baseballdata.jp/playerP/900121_4.html

*6:http://baseballdata.jp/playerP/900121_4.html

*7:https://www.baseballgeeks.jp/?p=3338