いわしはだいだい昼寝をしている

まとまりもとりとめもない脳内爆発日記

「心配事の9割は起こらない」レビュー

久々に本のレビューを.本書は世に氾濫する「それ」っぽいいいことを禅の立場から解説した本です.読んでためになることは多いですが,自己啓発系の本をたくさん読まれてきた方が読むと,目からウロコが落ちるような経験をすることはないと思います.

・(よくあることだが)自己啓発系の本なので内容が似ている
世間一般に「悩まれていること」の数はそう多くないし,それの解決策も少ないはずである.その少ない解決策の1つは「どうでもいいことに悩まないこと」であり,本書は(題名から考えて当然であるが)悩まないことを推奨している.

最近出版された本では,「嫌われる勇気」などのアドラー系の考え方と似ている気が個人的にはしている.例えば,本書では「自分の人生を生きろ」とアドラーの言葉は使っていないものの,ほとんど同じようなことを言っている(勝負をするななど).禅にもこういう考え方があるのか!と驚いた一方で,よくよく考えれば当たり前のことであると思う.

・この手の本を読んだことある人は,目次だけで十分かも知れない
当たり前のことだが,本文では目次の見出し文よりも詳細な解説がされているが,個人的にはぞれが冗長に感じるし,よくある一般的な内容で目を見張るものはなかった.例えば,「ものを捨てよう」みたいなことが書いてあるが,これはよくいるミニマリストが言っていることとほとんど一緒で今更本で読んで目からウロコが落ちる人はほとんどいないと思います.また,「人に対する好ましくない感情やネガティブな評価の背景には,実は色眼鏡をかけた自分がいるのだと知ってください.それを外したら,見え方はガラリと変わったものになるでしょう」と言っていますが,これは当たり前ではないでしょうか...本当の問題はこれが「実行できないこと」だと思います.ある意味この本こそ「正論」の暴力な気がする.

これ以外にも本書はたくさんの「当たり前のこと」を説明しています.

・「今」できることだけに集中する
この主張はその辺のマインドフルネスついての概説を読んでみるといいと思います.

・いい言葉を使う

・「正論」を振りかざさない

などなど.

結論

・何よりも自分で考えることが重要

筆者は「前を走り続けている同僚や友人の背中を見ながら,自分の歩を止めるのは不安なことかも知れません.しかし,禅も中国古典も「大丈夫だ」と請け合っています.安心して止まって,さまざまなことを「考える時間」を作ってください」といっていますが,これを真に受けると大変な問題が起きる可能性もあります.無批判に全てを受容するのではなくて,自分自身で筆者の言っていることを吟味する必要が大切です.